2021-11-24 「牛にも、人にも、あったかく」想いとその活動は信念の体現~清水町・有限会社コスモス~|HFT14

「牛にも、人にも、あったかく」想いとその活動は信念の体現~清水町・有限会社コスモス~|HFT14

十勝といえばお肉、お肉といえばコスモスファームさまということで、今回は十勝・清水町より「有限会社コスモス」さまのインタビューをお届けいたします。

数々の賞を受賞し、ブラウンスイス牛の名を全国に知らしめたコスモスさまですが、現在のスタイルを確立するまでには数々の困難と、確固たる信念がありました。

 

「牛にも、人にも、あったかく」というその理念に隠された強い想いとは。

 

お客様第一に、安い品物を…という言葉が叫ばれて久しいこの令和の時代。

そんな時代の中、本当に大切にしていかなければならないことは何なのか。

十勝の地から想いを発信し続ける代表・従業員皆様の情熱をお届けします。

 

有限会社コスモス代表の安藤代表にインタビュー

有限会社コスモス 代表取締役 安藤智孝さん
取材:ライズ北海道  山本、後藤(撮影)

〔インタビューイー:有限会社コスモス代表の安藤智孝さん〕

山本)立派な建物ですね。お邪魔します。本日はどうぞよろしくお願いします。

安藤代表)よろしくお願いします。ここは父が保養所として建てたものなんです。今は月一のミーティングなどで使っています。

山本)内外装とも大変素敵ですね。創業されたのはお父様ですか?

 

〔「牛の館」と名付けられた保養所-事務所横の敷地内に建つ〕

安藤代表)ええ。あそこに写真がありますよね。昭和期の最後に、私の父である安藤賢治と、母、もう一人の共同経営者の3人でここ「有限会社コスモス」を立ち上げました。

山本)トランペットを演奏されているあちらの写真ですね。

安藤代表)そうです。牛とジャズに生きた男ということで(笑)。もともと農協の職員であった父は、大酪農地帯であるここ清水町で、ホルスタインの雄牛を食用として肥育するというビジネスの指導員として活動をしていました。そんな中で、自身もそこに携わっていきたいという思いからはじまったんです。月~土曜までは農協の仕事をこなし、日曜日に現場に入って自身も体を動かし、運営をするという生活をしていました。

 

〔安藤代表-初代 故安藤賢治氏の写真とともに〕

山本)すごいですね、今では考えられない。

安藤代表)確かに。さらに時間があれば帯広まで出て行ってトランペットを演奏していたようですよ。はじめは80頭からスタートした事業でしたが、現在は1,200頭ほどを肥育しています。

山本)すごい数ですね!そこから順調に拡大されたのですか?

安藤代表)いえ。思いもよらないことに平成元年、父が37歳の時に交通事故で急逝してしまいました。飲食店の方をやっていた母と、板金業をやっていた共同経営者は肥育に関してはほぼ素人、そんな人間が残されてしまったんです。

山本)大変な話ですね…。維持していくのも非常に難しかったのでは。

安藤代表)おっしゃる通りです。ただ、かなりの金額を投じて開業に至ったので、すぐにやめることは難しいということもあり、何とか続けるしかないと。しかし悪いことは重なってしまうものです。

 

〔相思相愛の安藤さんとブラウンスイス牛〕

安藤代表)平成に入り、日米牛肉・オレンジ自由化問題のあおりを受け、牛肉の取引価格が大幅に下落してしまいました。実際にあちこちの牧場が潰れてしまう中、何とか別の事業で得た利益をこちらに回すということで食いつなぎ、継続するという状況でした。

山本)想像を絶する状況ですね。船出から順調に運営されていたわけではないんですね。

安藤代表)決してそんなことはなく、苦難の連続でした。しかしそんな中、一筋の光明が差し込んできます。地元のJAが、月齢の若い牛をブランド化(≒「十勝若牛」)して出荷するという取り組みをはじめました。「十勝若牛」は通常よりも柔らかい肉質と臭みがほとんどないことが特徴です。清水町内計5軒で育てる生産ロットの中、ありがたいことに40%ほどのシェアで出荷させて頂くことで何とか経営の立て直しへとつなげることができました。

山本)誠意を持って続けていたからこそ、そうしたチャンスにつながったわけですね。

安藤代表)食べやすい間口の広い牛肉として重宝されました。特に関西から西の方のスーパーに大きな引き合いがあり、ある程度経営も立て直しに向けて動いていた状態でしたが2014年、新たな問題が噴きだしてきました。

 

〔十勝清水コスモスファームの加工製品〕

山本)2014年、牛肉の問題というと。

安藤代表)ええ。TPPの問題です。15年かけて今ある牛肉の関税が35%ほど安くなると。つまり、既存の国産牛は価格の面で大変な打撃を受け、あっという間に売り上げがなくなってしまうという状況です。

山本)そこで安藤代表が何とかするぞと立ち上がったわけですか。

安藤代表)いえ。私は家業を継ぐことは考えていませんでした(笑)。東京へ出たあと、帯広に帰ってきて、市役所で働いていました。仕事も順調でしたし妻と子供もいたので、安定した収入がある生活に不満が無かったんです。

山本)現在のポジションに就くまでにいろいろな葛藤があったんですね。

安藤代表)そんな中、ふと考えたんです。母の面倒は何とかするとして、従業員の人たちはどうなるんだろうと。私が小さい時から働いてくれている方々もたくさんいて、無下にすることはできませんでした。当時34歳、ついにファームに戻ってくることを決めました。

山本)大変なご決断ですね。2014年というと7年前、7年でこれだけの成果を出すのは大変なことだったと思います。乗り越える中で大切にされてきた理念などはありますか?

安藤代表)「牛にも、人にも、あったかく」です。私たちは牛のいのちを世の中に還元するという行為を通じて生活をしています。だからこそ先ずは、常に牛が快適に育ってくれるような環境を整えていかねばならないと考えているんです。

山本)表にも大きく「牛」と書かれた石碑が建っていますね。

 

〔牛のいのちに感謝を忘れない 「牛魂碑」はその想いの顕れ〕

安藤代表)「牛魂碑」ですね。毎年10月にお坊さんを呼んで、全員参加の鎮魂祭を行います。無事に育ってもらうためには、従業員の皆さんに想いを持って働いてもらうことも必要ですよね。だから次の優先順位として、「従業員」を位置づけています。そのうえで、召し上がっていただく「お客様」にご納得いただけるような商品ができると思うんです。

山本)今は「価格第一・お客様第一」など、通り一遍のフレーズだけが先走りするようなケースも少なくない時代だと思います。そんな中、真にお客様のことを思えばこそ、牛、従業員の皆さま、そしてお客様の順番だと。

安藤代表)その通りです。僕自身、いろいろな失敗をしてきたからこそ自分たちが本当に大切にしているものや、優先順位を明確にしないといけないなと考えるようになりました。だからこそ、「牛にも、人にも、あったかく」という理念で走ってきたんです。

山本)御社の強い想いが伝わってきます。そうした理念のもと、コンビーフはじめ多くの商品が開発されたんですね。

安藤代表)はい。正直、今まで通りただ出荷さえしていれば利益という意味では十分なんです。実際に、加工品を手掛けるのはかなり手間がかかります。開発費用・販売チャネル・賞味期限・細かい制限・債権回収など多くのハードルがありますよね。でも、私たちは牛のいのちを活かしきるという理念がありますから。その理念があるからこそ、加工品は必要不可欠だったんですね。

 

〔笑顔で働く十勝清水コスモスファームの従業員の皆さん〕

山本)確かに、一から何かを作り上げていくのは相当な労力、エネルギーが必要ですよね。それでも、表向きだけの理念ではなく、本当に心から牛のことを第一に考える御社だからこそ、加工品を進められたんですね。

安藤代表)はい。牛が“と畜場”に流れた後、枝肉として17の部位に分かれますが、部位の人気には偏りがあり、どうしても余る部位が出てきてしまうんです。その肉は賞味期限が来れば廃棄されてしまいます。流通の実態としてこれが現実なんですが、牛のいのちを活かしきるという考えとは全く相容れませんよね。

山本)フードロスについては昨今大きな社会問題にもなっていますよね。まして、いのちを頂いているお肉であれば、なおさら向き合わないといけない課題だと。

安藤代表)ええ。そこで、余すことなく活かすことができるのが「コンビーフ」でした。しかし単に活かすということだけでは、「人にあったかく」のコンセプトに当てはまらない。そこで、無添加で、かつ体に優しい成分だけに拘りました。最終的に、牛肉・牛脂・食塩の3つで作ることに成功したんです。

 

〔添加物を加えず、牛肉・牛脂・食塩のみで製造されている「ブラウンスイス牛コンビーフ」〕

山本)ものすごいこだわりですね。実際に今までなかなか活用が難しかった部位を使用されているんですか?

安藤代表)ええ。どうしても敬遠されがちな首や肩など、煮込みのようなものにしか使えなかった部位を使用することを可能にしました。

山本)なるほど、ところでこのコンビーフをはじめ御社の代名詞にもなっているブラウンスイス牛ですが、以前から肥育されていたんですか?

安藤代表)それがですね、実は偶然で出会ったんです。ある“間違い”から弊社との関係が始まりました。

山本)ええっ!“間違い”だったんですか(笑)?

安藤代表)そう。私が入る前の話ですが、ある時、いつものように仕入れた牛たちがトラックから次々と降りてくる中で、見たこともない色の牛がいるぞと。おそらく仕入れを任せていた業者さんが誤ってセリ落としたんですね(笑)。

山本)業者さんの手違いでしたか。

安藤代表)普通なら間違いだから送り返すんですが、送り返された牛はそのまま殺処分されてしまいます。そうした状況もあり、うちで育てようぜと。ホルスタインよりも耳が大きくかわいい顔をして人懐っこさもあるブラウンスイス牛はみんなから「ブラウン→ぶーちゃん」と呼ばれすぐに人気者になりました。

 

〔ブラウンスイス牛-つぶらな瞳と人懐っこさですぐに虜に〕

山本)だいぶ思い切ったんですね!でも肥育方法はホルスタインとは異なりますよね?難しくなかったんですか?

安藤代表)そこが第一の問題でした。3か月ほどで体調を崩してしまいまして。ホルスタインであればなんとかなるラインで考えていたんですが、そのまま亡くなってしまったんです。そこから私の母に心に火がつきまして。近隣の農家からブラウンスイス牛を買うと言い出し、3頭仕入れたのが本格的な肥育のはじまりでした。

山本)情愛の深いお母さまですね。

安藤代表)そうですね。ただ第二の問題で、市場がなかったんですよ。「十勝若牛」ブランドとして出荷は出来ませんし、近所の中華料理屋さんにでも購入してもらえばいいんじゃないかと。実際に、流通が確立されていなかったんです。

山本)流通が確立されていない?どうやって販売すれば良いものか想像がつきませんね…。

安藤代表)今考えればそうですよね。実はそこにこそ私たちがブラウンスイス牛と向き合うようになったきっかけがありました。私がファームに戻ってきてから一番最初のミッションが「ブラウンスイス牛を何とかする」というテーマでした。

山本)いきなり難しいテーマですね。

安藤代表)厳密には、雄牛の流通ルートが確立していないという課題です。雌牛であればミルクが摂れるので用途がはっきりしています。実際に、ヨーロッパの加工乳製品の多くはブラウンスイス牛のミルクからつくられています。味が濃厚なんですよ。

 

〔清水町の丘からの風景-11/4撮影、生憎の曇天〕

山本)なるほど。では、雄牛が流通しない原因はずばり何なんでしょうか?

安藤代表)まずは知名度。聞いたことがない肉をお客様が召し上がらない、消費がなければ流通しようがないと。さらに再現性。全国でも4,000頭ほどしかおらず、ルートを確立するのが難しいんです。どこで、どのように生まれているのかはっきりしていなかったんですね。そうした背景もあり、雄牛がどうなっているのかを調べてみると、「商品価値が無いから生まれたら殺処分」という現実がありました。

山本)御社の理念をもってすると、そこを看過できない。

安藤代表)その通りです。母はさらに火がついて。単身、北海道ブラウンスイス協議会という会の集まりに出かけていき、雄牛が生まれたらウチに連絡してくれ、と話をしたそうです。実際に協議会でも雄牛の流通は大きな課題だったということもあって、あれよあれよという間に50頭にまで増えました。

山本)50頭!それだけの牛をどうされたんですか?

安藤代表)どうしましょうね…(笑)。赴任するや否や無理難題のスタートです。そこで考えたのが、通常の食用肉としてのルート開拓と、加工品としての青いパッケージ「ブラウンスイス牛」のコンビーフ、カレー、肉みそでした。

山本)そうした理由で、ピンクの十勝牛と空色のブラウンスイス牛とでコンビーフが分かれているんですね!さらに、カレーや肉みそと活用されて、そこから多くの賞を受賞することに繋がっていったと。

 

〔ピンク:既存の牛を活かすコンビーフ 空色:ブラウンスイス牛を活かすコンビーフ〕

安藤代表)おかげ様で。ただ、実は「1年1賞」という戦略を持って賞レースに参加していました。一気にブームに載せてすぐに下火にしてしまうというものではなく、ロングライフ製品にしたいという考えからです。1年に1回メディアなどに扱っていただくことで、長い期間みなさまの目に留まってほしいと。

山本)なるほど。戦略という意味でもパッケージが独自性の強い色使いになっているのですね。

安藤代表)ありがとうございます。この商品のターゲットは主に女性です。食品としてはタブーとされる「青」を使用することで注目感をつけていきたかったんです。実際に大手の食品メーカーさんからは何を考えているんだと、こんなもの絶対売れないと言われてしまいましたが、別にそれでよかったんです。

山本)かなり思い切った戦略ですね!

安藤代表)スーパーに並ぶような500円前後の価格層ではなく、できるならお洒落なセレクトショップに並べてもらって「これなんだろう?」と手に取ってもらえる様なパッケージを狙ったんです。牛の幸せにつながる餌代を得ていくには必要な戦略でした。

山本)なるほど、そうした開発の背景があったんですね。開発にはノーステック財団の支援などが活かされているんでしょうか?

 

〔数々の賞を受賞している十勝清水コスモスファーム〕

安藤代表)はい。平成26年ブラウンスイス牛の食肉加工という広いテーマで研究支援をいただきました。東京・池袋の商談で行ったマーケティングリサーチの時は水沼部長はじめ皆さんがお越しくださり、手伝って頂きました。

山本)なるほど。基礎研究やマーケティングというところが支援の始まりだったんですね。

安藤代表)はい。そこから賞の申請業務などもお手伝い頂き、非常にありがたかったです。「○○賞受賞!」などのインパクトはやはり不可欠でしたからね。

山本)確かに、インパクトがありますよね。

安藤代表)それだけではなく、肉みその開発に際しては共同開発した渋谷醸造さんとの研究の中で、常温保存を可能にするために糖分、塩分比率の最適化などの研究面でノーステック財団さんにご支援いただきましたよ。

山本)かなりノーステック財団との関係が強いんですね!

安藤代表)ありがたい話です。ちなみに、この肉みそも、保存をするうえで添加物などもいろいろ試したんですが、やはり「人に、あったかく」の理念から、余計なものを入れず、体に優しい商品づくりを徹底しました。開発から完成まで2年程かかったこだわりの商品です。

 

〔肉、味噌、唐辛子、砂糖、鰹節、みりんだけで仕上げた肉みそ〕

山本)2年間の集大成、情熱と執念の賜物ですね。

安藤代表)ありがとうございます。これからもどんどん改良を行っていきたいと思います。

山本)楽しみです。今後の展開を教えていただいてもよろしいですか?

安藤代表)カレーに関してはもう少し改良を加える予定です。また、新商品のプランとしては“おせち”みたいなイメージで、1頭の牛を頭から尻尾まで部位ごとにして桐箱に入れたものをお届けするというのが面白いかなと。その牛のいのちをまるごと、最高の熟成を行なったうえで、添状もつけて召し上がっていただきたいと考えています。

山本)面白いですね。なかなか簡単なことではないですよね?

 

安藤代表)簡単ではないです。ただ、できない事はない。こうした取り組みを行うことで牛たちの価値が上がり、牛の生活がより良いものになる。牛の価値が上がれば、社員の手取りも増える。ひいては会社としての価値も上がる、と。

山本)「牛にも、人にも、あったかく」の理念の賜物ですね。徹底した理念のもとの運営をされている御社ですが、コロナの影響はやはり大きかったんですか?

安藤代表)大打撃でした。ブラウンスイスは月に5頭ほど、うち3頭は札幌の高級フレンチ店さまなどで仕入れてもらっていましたが、そこがほぼストップしました。ブランディングを徹底してきたからこそのダメージですね。額にして3,000万ほどの損失です。

山本)難しい課題ですね…。それだけの金額だけでなく、物産展のほうも影響があったのではないでしょうか?

安藤代表)はい。月一度ほど出店をしていた物産展は軒並み中止、ひどい場合は、開催途中で宣言が出て中止というケースもありました。私たちは加工品などでまだダメージが少なかったですが、お弁当などの業者さんは賞味期限のあるものをまとめて仕入れてましたからね。大変なダメージだったんじゃないでしょうか。

 

〔日勝峠展望台からの景色-11/4撮影、生憎の曇天〕

山本)確かにそうですね。赤字でも出店というような覚悟が必要でしょうか…。

安藤代表)正直、赤字覚悟というよりも、実際に赤字です。今までのような人混みには戻りようがありませんし、難しい問題です。ただ、私たちが大変な思いをしているときに助けてくれた百貨店さんなども苦労していらっしゃる現状をふまえると、見過ごすことはできないですから。そうした不義理を働くことはできないですから。

山本)「人に、あったかく」の想いはここでも。

安藤代表)ええ。HPからの購入などもできるよう、プラットフォームも整えたんですが、なかなか難しいですね。現地で購入いただく物産展とは異なり、個別での送料などの問題がありますからね。実際にそういった点もご納得いただき、購入してくださるお客様は本当にありがたいと思います。

山本)確かに。送料は、ここ北海道でインターネットを使ったビジネスにはついてまわる懸念点ですね。それでも、北海道からおいしいものをお届けするという理念を持っていらっしゃる代表だからこそ、今後の北海道の食の未来について、お考えをお聞かせいただきたいです。

安藤代表)北海道の最大の魅力であり未来に残すべきものというのは「自然」だと考えています。自然があるからこそ食材が豊富であり私たちが食材を作れるわけですから。今までの財産があるからこそ「北海道」ブランドが確立しているわけですね。そこで、今後私たちにはいくつかの観点が必要ではないかと考えています。

山本)具体的にはどういったところでしょうか。

 

〔ブラウンスイス牛は個体別に毛色の違いがある〕

安藤代表)はじめに「健康」です。コンビーフのお話ではないですが、無添加は今後当たり前になっていくと思います。そこから一歩踏み込んで、体に優しい、さらに一歩踏み込んで生産者として牛の健康・従業員の健康、ここでいう健康は体調・メンタル面含め、気をつけているかどうかも見られると思っています。

山本)確かに、昨今そうした観点は特に大切にされていますよね。

安藤代表)ですよね。そうした基準が今まではありませんでしたが、日本でも「アニマルウェルフェア※」の認証制度が整いましたよね。今後、当ファームも認証に向けて動いていきます。

※アニマルウェルフェア…動物が精神的にも身体的にも健全でいる状態を指した英国発祥の考え方。欧州では機関投資家が投資先を選ぶ基準の一つにアニマルウェルフェアが挙げられている。

山本)理念を実際に見える化していくんですね。

安藤代表)はい。それと、「環境」です。自然に配慮した形でのファーム運営を目指し、いくつかの取り組みを進めていきたいと考えているところです。

山本)テーマとしてはシンプルですが一番大切で難しいことですよね。

安藤)だからこそ私たちのような立ち位置にいる人間から意識を高く持っていかないといけないと考えています。これからの当ファームの取り組みを見ていてほしいなと強く願う次第です。

 

 

『未来を語る前に、今の現実を知らなければならない。人は現実からしかスタートできないのだから。』

 

かのピーター・ドラッガーの名言として有名な言葉ですが、現実ではなく理想が先行してしまうことも少なくはありませn。

そんな中、取材終了後案内して頂いた折、この言葉を思い出すタイミングがありました。

 

安藤代表)ここは、理念を体現しているといっても過言ではない「0号牛舎」です。

脳の病気や先天性の疾患、肺の病気など治療が難しいとされて獣医さんからも見放された牛たちを育てています。経営的な観点だけでみると、まったく利益はありません。

でも、そうじゃあないだろうと。従業員一同で、こうした牛の問題を話合うタイミングがあったんですよ。すると、話合うまでもなく、全員「あきらめない、向き合いたい」と。

だって、牛でも人でも、あきらめないで向き合うのって、本当に大切なことじゃないですか。

ここまで、愛にあふれ、現実を見ている人や組織に出会ったことはなく、私たち自身、感銘を受けた。

 

その想いは商品にも表れています。皆様の食卓にその「あったか」さが、ひいては皆様の本当に大切な人々に「あったか」さが届いてほしい、そう思って止まない今回のインタビューでした。

(ライティング:後藤蓮、編集:山本純己、後藤蓮)

 

企業情報

◆企業名|有限会社 コスモス(十勝清水コスモスファーム)
◆住所|上川郡清水町御影南5線51番地7
◆電話番号|0156-63-3330

 

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